隠し部屋を作るメリットや注意点
突然ですが皆さんは隠し部屋に憧れを抱いた経験はないでしょうか。隠し部屋とは映画の世界でよく見る、壁の裏に隠された秘密の部屋のことです。映画ほど凝った作りの隠し部屋ではなくても、近頃は自宅に自分専用のスペースを希望する人は多いようです。
この記事では隠し部屋を作る目的を説明したのち、隠し部屋を作るメリットや注意点を解説します。最後に隠し部屋の具体例も紹介するので、隠し部屋を作りたいと考えている人はぜひ参考にしてください。
隠し部屋の目的・役割
そもそも隠し部屋とはどのような部屋のことを指すのでしょうか。隠し部屋には住人以外の人には分からないほど上手く隠された物もあれば、半個室のような空間も隠し部屋の一種と考えられているようです。
住人以外には分からない隠し部屋の例としては、本棚が実はスライドして隠し扉になっているような場合があります。一方、半個室のように完全に隠されてはいないスペースとしては、階段下にカウンターを設けて休憩や読書スペースになっていたりする場合があります。
では一体どのような目的で隠し部屋が作られるのでしょうか。隠し部屋が作られる目的として代表的な例を紹介しましょう。
書斎や趣味の部屋として
家の中で自分の居心地の良い空間を求めて、書斎や自分の趣味に合わせた部屋が欲しくなるケースがあります。しかし現実的には敷地面積や間取りの制約上、自分専用の部屋を作ることは難しいようです。
そこで、空間を有効利用した隠し部屋を作り、書斎や趣味の部屋とする人が多いです。また、近頃は在宅ワークをする人の割合も増えてきているため、仕事効率アップのためにも集中できる環境として隠し部屋は役に立ちます。
収納や物置として
頻繁に使うわけではない家具や家電、趣味の道具で収納するのに場所を取る物などは隠し部屋を収納として使うのが便利です。
夏に使う扇風機や冬に使うこたつなどは、季節外れに目にするのは不自然です。また趣味でサーフボードや釣り竿などを持っている場合も、人の目に付きやすい場所に置くことに抵抗があるという人もいます。
ガレージや物置が作れる敷地の広さがない場合、上記のような道具類は屋根裏や階段下などのスペースを利用した隠し部屋を収納として使うと良いでしょう。
子供部屋や子供の遊び場として
お子さんが小さく、まだ子供部屋が必要な年齢でもないうちは遊び場や遊び道具の収納場所として、ちょっとしたスペースの隠し部屋があると便利です。
小さなお子さんであればコンパクトなスペースでも遊べるうえに、たくさんのおもちゃなどは隠しておけると来客時に気になることはありません。将来お子さんが大きくなったら、収納として利用することもできます。
隠し部屋を作るメリット
前項では隠し部屋を作る目的で代表的な例を紹介しました。次に隠し部屋を作るメリットについて解説します。
男性・お父さんの家での時間が充実する
隠し部屋を作って男性の書斎や趣味の部屋として使うことで、男性の自宅で過ごす時間が充実したものになります。
その理由は、隠し部屋を作る目的でも紹介したように、家自体が比較的長時間過ごしている女性や子供の趣向にあった環境になりがちなためです。いつの間にか男性が過ごすのに心地良い場所が自宅にないといった状態になってしまうこともあります。
もともと男性は子どものころから秘密基地といって、自分だけの遊び場を作ったりする傾向があります。たとえ狭くても男性だけの空間を用意してあげると、家で過ごす時間の満足度が上がる場合が多いです。
女性・お母さんの仕事がはかどる
比較的家で過ごす時間の長い女性やお母さんであっても、ひとりで集中して作業ができる空間があると家事もはかどります。
たとえば家計簿をつけたりお子さんの学校からのメールをチェックしたりは、集中できる環境があれば短時間で作業を終えることができるでしょう。場合によっては、まとまった時間集中してご自身のお仕事を行う場所が必要な人もいるかもしれません。
そのような場合には完全な個室を作るよりも、半個室のようにしてお子さんやほかの家族の様子も確認できるようなスペースを用意するのがおすすめです。
子供が喜ぶ
お子さんも成長するにつれ自分達の遊び場が欲しくなるものです。子供部屋を与えるにはまだ早かったり、間取りの都合で子供部屋が作れない場合であっても、ちょっとしたスペースを利用してキッズスペースにしてあげると喜んでくれます。
子どもはもともと狭い場所や高いところが好きなケースが多いため、階段の下や押し入れなどをはじめから危なくないように設計して使わせてあげれば安心です。
お子さんが大きくなって不要になったキッズスペースは、物置などに使うことを考えておくと良いでしょう。
隠し部屋を作る注意点
ここまで隠し部屋を作る目的やメリットについて紹介してきました。ここからは実際に隠し部屋を作る際に考えて頂きたい注意点について解説します。
家族間のコミュニケーションは大切にする
家族にも邪魔されない自分だけの空間、趣味のコレクションがある人であればコレクションルームなどは時間を忘れて過ごしてしまいがちです。そのような部屋を持つことができたとしても、家族とのコミュニケーションは大切にしてください。
隠し部屋で自分専用だからといって家にいる時間のほとんどをその部屋で過ごしていては、一緒に生活する家族との時間がなくなってしまいます。中には隠し部屋に鍵までかけてこもってしまう男性もいるようです。
鍵をかけて隠し部屋にこもってしまった男性は、音楽を聞いていて奥さんの呼びかけにも気づかなかったために、奥さんを怒らせてしまう原因となってしまったそうです。
隠し部屋にこもる際には「新しいCDを買ったから1時間くらい音楽を聞いてるね」といった具合に、ひとりになる目的や時間を伝えておけばコミュニケーション不足によるトラブルは避けることができるでしょう。
工事費は高くなる
隠し部屋という特殊な部屋を作る場合、工事費は通常の部屋と比べて高くなります。どの程度の隠し部屋かにもよりますが、凝った作りにすればするほど特別な部品や工事が必要となるためです。
たとえば、壁の一部を隠し扉にすることを考えると、表からは目につかない扉を開閉するための金物が必要です。そのような金物ひとつとっても価格は10万円程度かかってしまいます。隠し部屋は全体の予算も考えて検討してください。
技術力の高い設計者・工務店に依頼する
たとえば1階と2階の間のスペースを利用して隠し部屋を作るような場合、設計及び施工は技術力の高い設計者及び工務店に依頼することが大切です。各階の中間のスペースに設けられたフロアはスキップフロアと呼ばれ、敷地や空間の有効利用が可能となるため人気の構造です。
スキップフロアは住宅の耐震性能に影響するため、設計には難易度の高い構造計算が必要です。スキップフロアを設ける際にはそのような難易度の高い構造計算が可能な設計者と、設計通りの施工が十分可能高い技術力を持った工務店に工事を依頼することをおすすめします。
隠し部屋の具体例
ここまで隠し部屋を作る目的やメリット、そして隠し部屋を作る際の注意点を紹介してきました。最後に実際にどのような隠し部屋が作られているのか、事例を紹介しましょう。
スキップフロアの下
上記で紹介したスキップフロアですが、1階から2階へ続く階段の途中に設けられるのが代表的な使い方です。通常の住宅の階段にも踊り場が設けられている場合が多いですが、1階と2階の途中のスキップフロアは踊り場を広くしたようなイメージです。
このスキップフロアの下の空間を隠し部屋として利用することが可能です。階段下のスペースということであまり室内の高さは確保できませんが、収納や物置としては十分なスペースを確保できて便利です。
また、小さなお子さんの遊び場として利用されるケースもあります。スキップフロアがリビングルームに隣接した作りになっている場合であれば、親御さんの目の届く範囲でお子さんが遊んでくれるので安心感があります。
中2階
次に紹介するのは中2階に隠し部屋を作る事例です。中2階とは1階と2階の間の空間に位置するフロアのことです。
1階から2階へ上がる階段の途中に本棚風のディスプレイがあり、実はこの本棚が隠し扉になっているという仕掛けです。隠し扉を開けると中は収納と書斎スペースになっています。
天井は低いですがデスクワークをする分には問題なく、在宅ワークにも集中して取り組むことが可能です。まさに隠し部屋といったワクワクできる雰囲気で、隠しているのに誰かに自慢したくなるお部屋です。
階段下
最後に紹介するのは階段下の空間を利用した例です。階段下を利用する場合は完全な個室ではなく、半個室のような使い方が一般的です。
階段下の空間ということで、天井は階段の傾斜で斜めになります。階段の傾斜を考えてカウンターや棚を設置し、読書やワークスペースのために利用するのが人気です。
また、階段下の空間をキッズスペースとして利用する事例もあります。子供は狭い場所が好きだったりもしますので、秘密基地のような空間を用意してあげればきっと喜んでくれるでしょう。
少しまれな階段下の使い方としては、愛犬の居場所としてゲージを置いたり犬小屋風の作りにしたりする例もあります。動物を飼っているという人は、階段下のスペースの利用も検討してはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では自宅の隠し部屋について、その目的や作ることのメリット、隠し部屋を作る際の注意点、そして実際の利用例を紹介しました。家を建てる際、多くの人が自分専用のスペースを希望してはいるものの、現実的には敷地面積などの都合で難しい場合が多いようです。
この問題を解決する手段のひとつがスキップフロアや中2階などを利用した隠し部屋です。隠し部屋は家族間のコミュニケーションや費用などに注意して、上手に活用するのがおすすめです。